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誓い

6月12日に行われる第110回日商簿記検定試験。この1級の受験を、今回は見送ることに決めた。
くやしい。とてもくやしい。
6月での1級受験は、簿記の学習を始めた昨年10月からの目標だった。それだけに今回これを思い切るのは辛かった。
それでも4月が終わるこの時点で全体学習量の殆どが手つかず。これではお話にならない。本来なら過去問を解きはじめていなければならない時期なのに。
2月頭から3月末までの短期アルバイトが終わり、4月に入って次の仕事が見つかるまでの間、この期間にもしそれなりの学習量をこなすことが出来たなら或いは、合格は無理にしろ、ある程度問題と渡り合えるだけの実力を期待できたかもしれない。
仕事は見つかった。けれど全く学習に集中できなかった4月。目標に届かなかった事実を私はようやく認めた。小さな自分を噛み締めた。


高校時代を思い出す。最終学年である受験生になっても、私は勉強ができなかった。
国立を除けば県内第1位の進学校で、周囲を見渡せば優秀な人たちばかりだった。
入学した当初から授業のハイレベルさに唖然とした。予習なしではまずついていけない。復習なしで頭に入る量じゃない。でも、家に帰ったところで予習がまず終わらない。ましてや復習の時間なんてどうやって確保していいかわからない。
中学を卒業するまで、高校受験に向けて冬から塾に通いだした以外は、私はそれまで自宅で勉強する習慣をいっさい持っていなかった。中学で学習する内容までは授業だけでも充分理解できた。試験対策は当然ながら一夜漬け。それでも7割方は頭に入った。
高校でそんな考え方は全く通用しない。でも、周囲はしっかり授業についていく。どうしてついていけるのかが分からなかった。予習さえ終わらないのに!
きっと私は、この中でとても劣っている人間なんだと思った。
理解力が無い。才能が無い。同じだけ勉強してもモトが違うなら追いつけない。

私は、試験前でさえ勉強をしなくなった。

広がった差は、結局卒業するまで埋まることが無かった。
勉強しなくてはならないことは分かっていた。それでも鞄から教科書を取り出す気力が湧かなかった。
逃避するように本を読んだ。漫画を読んだ。何冊も何冊も読んだ。時間がどんどん過ぎていく。
何もできないまま1日が終わる。ひどい罪悪感が残る。
そんなことばかり繰り返した。最後まで。
センター試験当日、躊躇った末乗ったバスは違う受験会場へ行くものだった。途中で気付いて降りた。戻るために見た時刻表。次のバスは、とうてい間に合わない時間だった。タクシーで向かえば間に合うかもしれない。けれど、もういい。帰ろう。
安定した道を外れた瞬間だった。奇妙に腑に落ちた気がして、少しだけ笑ったかもしれない。

私は、本当に、勉強できなかった。できなかったんだよ。
苦しかった。辛かった。自分自身が許せなかった。
しなくてはいけない事をしなければならない時に、出来なかった自分。
がんばらなければならないとわかっていても、がんばれなかった自分。
この先、本当に努力しなければならないときが訪れたとして、そのとき私は努力できるのか。
それを考えると怖かった。
同じことを、後に友人から指摘された。
他人からもくだらない人間だと思われていたことがショックで、死にたくなった。


あの頃を思い出す。
結局私は受験浪人をしなかった。
大学を諦め、半年ほど呆然と過ごした。そののちアルバイトを探すことから始めた。
1年ほどアルバイトをし、その後派遣社員となって3社ほどで仕事をしたあと、派遣先の会社へ正社員として入社した。その会社を、先日辞めた。
そして、ある目的を持って簿記の学習を始めた。
再び机に向かうようになってようやく、高校時代に大学受験を目前にしても勉強できなかった理由が解ってきた。あの時の躓きは正しかったと確信を持てた。それでも到底拭い去れないコンプレックスが意識の内に黒々と染みついている。
私はきっと、勉強することに対して未練があった。自分にとって勉学とは何か、それをずっと、心の奥底で考え続けていた。
その答えがようやく見え始めた今、一つの強い想いがある。

多分、ここで勉強できなければ、もう一生できない。

勉強に集中できなくなるたびに、学習が捗らなくなるたびに、あのときと同じように罪悪感でいっぱいになる。酷く自分を責める。
学習を始めてからまだ、たったの半年。習慣化にはまだ遠い。また勉強できなくなるかもしれない。その可能性がいつも怖い。
自分との戦いは辛くて苦しい。孤独でどこまでも終わりがないことしか見えない。
それでも、今度こそは。
打ちのめされても打ちのめされても負けるものか。
今の自分を踏みしめて、這い上がる。
ゆっくりでいい。マイペースでいい。何年かかったっていい。

絶対に、諦めない。

その誓いだけを強く抱いて。

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